Knit Invader in Nagasaki
《ニット・インベーダー in 長崎》

Knit Invaders in Nagasaki: Invasion Map
2017
Yarn on print
12.5×27.8cm
《ニット・インベーダー in 長崎: インベージョンマップ》
2017
プリントに毛糸
12.5×27.8cm

 

 

《ニット・インベーダー in 長崎》のその後
本プロジェクトを巡っては現場とインターネット上で大論争が起こり、地域住民主体のプロジェクトへと展開していきました。
見慣れた風景が変化したことで地域住民に気づきが起こった、ある意味ニット・インベーダーの趣旨が感じられた興味深いプロジェクトとなりました。

展開1 ~お引越し~
寺町の風景が日々徐々にインベージョンによって変化していく中、地域住民、近隣住民、観光客から様々な意見感想が挙がってきました。下記はその一部です。

「参道の顕在化というストーリーはおもしろい」
「寺町の歴史的な景観を損ねている」
「眼鏡橋きれいだね、ライトアップされるとよりきれい、長崎にもこういうことに気づく人がいるんだね」
「これをきっかけに今まで通り過ぎていた浄安寺にも入ってみたら、とても風情のあるお寺だった。いい機会になった」
「美術・音楽振興などは平和のためにも大事なこと。だが、解説がいるほど難解なものはいかがなものか」
「本件により外国人観光客が増えた」
「くんち期間のプロジェクトはもってのほか」
「18日に家族で町を歩いていて、力石さんとお話をした。自分の子どもがとても喜んでいた。最近では、ニットの町を見るためにまちによく遊びに行っていて楽しんでいるみたい。特に長照寺はとてもきれい」
「くんちはそれ自体が一種のアートであるのに、そのステージに演目と関係のない大道具小道具が配置されているような感覚」
「くんちでの一世一代の晴れ姿が台無しになる」

これら賛否両論の意見により、地域住民の中で今後の展開について様々なアイデアが提案され、くんちの期間中だけでも眼鏡橋を神聖な状態に戻すことに決定しました。眼鏡橋にあったニットたちは、くんちがよく眺められるよう、地域住民の手によって眼鏡橋付近の建物の高いところにお引越し。

展開2 ~みんなのこころの眼鏡橋~
元に戻った眼鏡橋。「やっぱり眼鏡橋はこうあるべきだ、という深い情念のようなものが地域住民の中に喚起されたように感じる。とりわけ『くんち』期間中だけは避けてほしい、という声がそのいい事例で、ある種その時期は眼鏡橋がほんとうに『聖なる』もの、空間、物体に転じるかのような認識が心の深いところから出てきているようだ」と、ある地域住民は語りました。
そこで住民同士の議論の末、眼鏡橋に再度ニットを戻すのではなく、眼鏡橋を包んでいたニットを一度ほどき、そのニットを使って個人個人が想い想いの眼鏡橋を再構築するという展開となりました。眼鏡橋付近のまちぶら広場にて、柵を使って表現したり、持って帰れるようなものを作って家に飾る参加者もいました。
眼鏡橋を包んでいたニットが個人個人に、地域に、散らばっていきました。

2nd-40th,44th,45th Photo: Toshihiro Nakachi

Sep.18th, 2017 – Oct.28th, 2017
Acrylic yarn, cotton yarn, polyester yarn
Teramachi, Nagasaki, “Nagasaki Art Project 2017”

2017年9月18日〜10月28日
アクリル糸、綿糸、ポリエステル糸
長崎市寺町エリア「長崎アートプロジェクト2017」にてインスタレーション